潮出版社
 
 
潮2022年5月号
月刊「潮」 潮2022年5月号
発刊日
2022年4月5日
価格
660 (本体 600円)

目次

【特別企画】危機の時代を生きる視点

【巻頭対談】 気候変動に政治はどう向き合うか。斎藤幸平×山口那津男

迫りくる物価高騰〝低賃金ニッポン〟からの転換を。野口悠紀雄

ポストコロナを見据える 大分大学の使命と役割。北野正剛

【対談】サステナブルなまちづくりで「次の一〇〇年」に挑む。野本弘文×篠原文也

 

【特集】ウクライナ戦争の行方

「プーチンの戦争」の引き金を引いたバイデンの迷走。手嶋龍一

ゼレンスキーの情報戦は世界の流れを変えるか。福田 充

一線を越えたロシアと、中国の本音と建前。安田峰俊

 

【特集】「つながり」を考える

【対談】小さなケアは「無駄な時間」に宿っている。村上靖彦×東畑開人

他者を思いやることに疲れてしまったら。武井麻子

「聴く耳」を育てる ―― ひきこもり当事者の言葉と「声」。石川良子

【ルポ】「望まない孤独」に手をのばすチャット相談の現場から。(下)荒川 龍

 

 

連載ドキュメンタリー企画

民衆こそ王者 ――池田大作とその時代

<希望をつなぐ人>篇(12)

 

 

【民衆こそ王者<識者の声>篇】

手塚先生と『冒険少年』 里中満智子

 

 

 

【人間探訪】 ダイアモンド・ユカイ

「無精子症」「別居ポップ婚」も赤裸々に語るのが

俺のロックンロール

 

 

【連載対談】ニッポンの問題点(53)

メタバース ――ネット上に広がるもう一つの仮想社会。岩佐琢磨×田原総一朗

 

 

積極財政で「停滞する日本」を脱却せよ。井上智洋

 

 

【好評連載】

鎌田實の「希望・日本」(24)

 世界最高齢DJの「無手勝流」健康法。鎌田 實

 

宿帳拝見――「あの人」が愛した湯(5)

 名曲「天城越え」と天城湯ヶ島温泉「白壁」。山崎まゆみ

 

 

【対談】高島礼子の歴史と美を訪ねて(20)

 謎多き人物ほど書きたくなってしまうんです。

朝井まかて×高島礼子

 

深掘り!「三国志」(10)

 蜀を滅亡に導いた愚鈍な劉禅。塚本靑史

 

トクサンの「人間野球」日誌(9)

 イップス ―― その正体と対処法。トクサン

 

世界への扉(67)

 ウクライナ戦争で日本が語るべき教訓。三浦瑠麗

 

寄せ場のグルメ(34)

 若者の街・渋谷の表と裏、そして「奥」。中原一歩

 

 

 

【連載小説】

蒼天有眼 ―― 雲ぞ見ゆ(33)

山本一力

 

梧桐に眠る(4) 澤田瞳子

 

吉野朝残党伝(16)

天野純希

 

31回 読者手記発表!

テーマ「デジタル狂騒曲」

読者手記 大募集!

(第34回 テーマ 艱難、汝を玉にす)

 

 

USHIO情報BOX

暮らしの相談室【年金編】(妻が二〇年以上働くと加給年金で損をする?)/ecology&economy新しい生活様式のエコライフ(電気の契約を見直す)/熟年世代の危機管理術(「地球温暖化」で日本にどんな影響が?)/SAFETY&SECURITY IT博士と学ぶデジタル社会の歩き方(マイナポイントをGETしよう ~マイナポイント第二弾~)/楽して楽しむガーデニング(水仙とチューリップ 花後の手入れ)/ナンバープレイス/手近な素材で簡単おうちごはん(納豆)/近ごろ…カラダが何かヘン!?(爪が割れる)/サトミツの知っててよかった!お掃除豆知識(冷凍庫の掃除法)/おうち時間に簡単体操(股関節ストレッチで気持ちよく伸ばそう)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/最近気になるモノ(いびき対策)

 

 ずいひつ「波音」

こころを聴く(77)博愛の巨大古墳。中西 進/同じ穴の貉。今泉忠明/どうした新人、目を覚ませ。常見陽平/やさしい沼。僕のマリ/負けられぬアトムの苦悩と、父親考。最上 悠

 

PEOPLE2022/世界のネコたち(千葉県)/”ティー・エイジ流”カフェ散歩(下町の路地裏で“時をつくるお茶”を味わう)/トピックス(葉っぱ切り絵の動物たち)/世界紀行(平和への祈り)

 

 潮ライブラリー/新聞クリッパー/今月のちょっといい話/クロスワード・パズル/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて

 

読みどころ

【特別企画】危機の時代を生きる視点

【巻頭対談】

「気候変動に政治はどう向き合うか

斎藤幸平(東京大学総合文化研究科准教授)× 山口那津男(公明党代表/参議院議員)

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  著書『人新世の「資本論」』が45万部のベストセラーとなっている斎藤幸平氏と、公明党代表の山口那津男氏との初顔合わせが実現! 地球温暖化や脱炭素化をテーマに、忌憚のない丁々発止の議論が繰り広げられました。

 際限のない経済成長を追い求める「資本主義」が、気候変動や格差の原因となっていると唱える斎藤氏に対して、資本主義の限界を認識したうえで、人間の苦労や努力、創造性で今の課題をどう解決していくかが重要と答える山口代表。

 また斉藤氏の、「気候変動問題は、慢性的な緊急事態」との指摘に、山口代表は大いに賛同するとともに、一人が100歩突っ走るような急進的な改革よりも、100人が確実に一歩を進めることが大事だと語ります。

 最後に、公明党のようにぶれない理念や価値観を持たなければ、お金儲けや経済成長の論理に負けてしまうと語る斎藤氏。と同時に、今こそ政治がリーダーシップを発揮すべき時であり、環境の党・平和の党として様々な課題に取り組んできた公明党に、さらなる期待を寄せています。

 

 

【特集】ウクライナ戦争の行方

「『プ―チンの戦争』の引き金を引いたバイデンの迷走」

手嶋龍一(外交ジャーナリスト・作家)

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 ロシア軍の侵攻から一カ月半が経過しても、一向に解決への糸口が見えてこないウクライナ危機。そもそも、なぜロシアはウクライナに侵攻したのか。そして、プーチン大統領の思惑はどこにあるのか。長年、外交ジャーナリストとして第一線で取材を重ねてきた手嶋龍一氏が、1991年のソ連崩壊から2014年のクリミア併合、そして現在までを俯瞰しながら、プーチンとロシアの「内在的論理」を通して一連の経緯を読み解きます。

 プーチン大統領にとってウクライナは、西側諸国との緩衝地帯であり「最後の砦」。その政治的・地政学的重要性を、バイデン米国大統領やゼレンスキー大統領がどこまで認識していたのかと疑問を投げかけます。

 そして最後の引き金をひいたのは、迷走に迷走を重ねたバイデン大統領であるとの論調に、テレビや新聞の報道だけでは見えてこない世界情勢の深層を窺い知ることができます。

 

 

【特集】「つながり」を考える

【対談】「小さなケアは『無駄な時間』に宿っている」村上靖彦(大阪大学大学院教授)× 東畑開人(臨床心理士)

「他者を思いやることに疲れてしまったら」武井麻子(日本赤十字看護大学名誉教授)

「『聴く耳』を育てる――ひきこもり当事者の言葉と『声』」石川良子(松山大学教授)

1

 第二特集「『つながり』を考える」では、人とつながり、支えあうことの重要性や難しさを検証していきます。

 冒頭は、大阪大学大学院教授の村上靖彦さんと、臨床心理士の東畑開人さんによる対談。最近、介護や心理的な支えなど、家族のケアを担っている「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたちが注目されています。自己犠牲を伴う複雑な内面に伴走してきた村上さんは、彼らには「負の感情をぶつけられる」存在が必要だと説きます。また東畑さんも、「無駄な時間」「どうでもいい仕事」を共有することが「小さなケア」に繋がると語ります。

 続いてのテーマは「感情労働」。看護師や納棺師、さらにはキャビンアテンダント(客室乗務員)などの職種は、適切だとされる感情を装って働くことが求められるため、ストレスや「思いやり疲労」といった代償に苛まれることがあるそうです。そこで日本赤十字看護大学名誉教授の武井朝子さんに、その対処法を伺いました。

 長年、「ひきこもり」当事者の声を聞き続けてきた石川良子さんは、「働きたい」「人と関わりたい」と思っていても、彼らは「動けない」のだといいます。そのギャップが家族や支援者と当事者の間に誤解や軋轢を生んでしまう。そこで石川さんは、周囲の話を受け止める側こそが、きちんとした「聴く耳」を養うことが必要だと訴えます。6項目にわたる具体的なアドバイスは、私たちに大きな気づきを与えてくれるはずです。

 

 

【人間探訪】ダイアモンドユカイ

「『無精子症』『別居ポップ婚』も赤裸々に語るのが俺のロックンロール」

 デビュー35年目を迎えたロックバンド「RED WARRIORS」のボーカルといえば、テレビでもおなじみのダイアモンド✡ユカイさん。12歳の娘と10歳の双子の息子のお父さんでもあります。そんなユカイさんが、ビートルズにショックを受けた野球少年時代、東日本大震災の衝撃、無精子症の告白の思い、さらに別居ポップ婚の顛末など、タブーなしで赤裸々に語ります。まさにその生き様がロックンロール!

 思わずニヤリ、時折ホロリのルポルタージュをお楽しみください。

 

 

連載ドキュメンタリー企画(133

「民衆こそ王者 池田大作とその時代」希望をつなぐ人篇(12

昭和31年(1956年)5月、若き日の池田大作が指揮を執った大阪支部は、

11111世帯の弘教を実らせた。

関西の責任者として、まず力を入れたのは御書(日蓮の遺文集)をひもとく挑戦だった。

初代大阪支部長の白木義一郎が〈御書に始まり御書に終わった〉と語り残した「大阪の戦い」。

その源流に迫る。

 

 

連載ドキュメンタリー企画

「民衆こそ王者 池田大作とその時代」〈識者の声〉篇

「手塚先生と『冒険少年』」

里中満智子(漫画家・日本漫画家協会理事長)

 先月号に続き〈識者の声〉篇も掲載、漫画家の里中満智子さんにご登場いただきました。青年時代の池田会長が編集長を務めた『冒険少年』『少年日本』にまつわるエピソードや当時の日記を通し、子どもたちと真摯に向き合う若き編集者の気概を感じたと語ります。

 里中さんにとって、子どもの頃に夢中になって読んだのが、手塚治虫さんの作品でした。手塚さんが描くヒーローを「心に抱いて」成長していったこと、漫画や小説がその後の人生に大きな影響を与えてくれたことなどを述懐されます。

 そんな手塚さんが、「『冒険少年』に書いてみたかった」と述べられていたくだりでは、実現はしなかったものの、「おそらく手塚先生は『冒険少年』からある種の新しさやチャレンジ精神のようなものを感じ取ったのではないでしょうか」と解説。

 貴重な歴史の証言が散りばめられた本稿は、必読です!

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