潮出版社
 
 
潮2022年2月号
月刊「潮」 潮2022年2月号
発刊日
2022年1月5日
価格
660 (本体 600円)

目次

【新春特別対談】

困難を越えてこそ芸術は花開く ――絵画と物語の対話

千住 博 × 中江有里

 

【特別企画】持続可能な社会をめざして

「社会に貢献できる企業」が生き残る時代。山本康正

「女性がリスクを負う社会」を克服するために。周 燕飛

「ポストコロナ」の日本経済を展望する。熊谷亮丸

政府のコロナ対策を主導した公明党の次なる戦略。秋野公造

 

【特集】ニッポン最前線

希望格差から「親ガチャ」へ――若者のリアル。山田昌弘

メンタルヘルスを守る「働き方」実現のために。本多公子

【ルポ】人気作家が〝町の本屋さん〟の経営に挑む。高見真理子

 

【新連載小説】梧桐に眠る

澤田瞳子

 

連載ドキュメンタリー企画

民衆こそ王者 ――池田大作とその時代

<希望をつなぐ人>篇(10)

 

【新連載】宿帳拝見――「あの人」が愛した湯(2)

 田中邦衛と「宝寿の湯」。山崎まゆみ

 

【特集】世界の行方

【連載対談】ニッポンの問題点(50)

 脱・新自由主義とEU革命へ――マクロンの挑戦。伴野文夫×田原総一朗

〝恒大ショック〟と中国経済の未来を深掘りする。梶谷 懐

ホロコーストの悲劇を日本人の私が伝え続ける意味。中谷 剛

 

【シリーズ】シニアのための「生き生き」講座

あなたの性格がわかる? 深遠な盆栽の世界にようこそ!

山崎ちえ

 

【ヒューマンストーリー】

西垣敬子

アフガニスタンの女性と子どもたちを支え続けて。

 

「運のよい武将」北条義時が武士の世を築くまで。

髙橋直樹

 

【好評連載】

鎌田實の「希望・日本」(21)

 「生まれてこないほうが良かった」――その内なる声に抗う。鎌田 實

 

池田思想の源流――『若き日の読書』を読む(4)

 真の指導者とは。佐藤 優

 

寄せ場のグルメ(31)<対話編>

 食事とは「つながり」の証。(下)

奥田知志×中原一歩

 

【対談】高島礼子の歴史と美を訪ねて(17)

 私の中にいるキャラクターが自然にしゃべりだすんです。

澤田瞳子×高島礼子

 

深掘り!「三国志」(7)

 五丈原に墜つ孔明と、深慮遠謀の仲達。塚本靑史

 

世界への扉(64)

 北京冬季五輪――対立の内実と日本の役割。

三浦瑠麗

 

トクサンの「人間野球」日誌(6)

 もうヤジはやめませんか。トクサン

 

【連載小説】

蒼天有眼――雲ぞ見ゆ(31)

山本一力

 

吉野朝残党伝(13)

天野純希

 

第28回 読者手記発表!

テーマ「背中を押してくれた言葉」

読者手記 大募集!

(第31回 テーマ デジタル狂騒曲)

 

 

USHIO情報BOX

暮らしの相談室【年金編】(六十五歳以降も働く場合の繰り下げ受給の注意点)/ecology&economy新しい生活様式のエコライフ(暖かい住宅づくり② ~すき間をふさぐ~)/熟年世代の危機管理術(冬に起こる危機)/SAFETY&SECURITY IT博士と学ぶデジタル社会の歩き方(マイナンバーカードでできること ~各種証明書のコンビニ交付~)/楽して楽しむガーデニング(梅を楽しむ)/ナンバープレイス/手近な素材で簡単おうちごはん(ポン酢)/近ごろカラダが何かヘン!?(身長が縮んできた)/サトミツの知っててよかった!お掃除豆知識(布巾をきれいに)/おうち時間に簡単体操(肩甲骨を柔軟にしよう)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/最近気になるモノ(いつでもどこでも寒さ対策)

 

 ずいひつ「波音」

こころを聴く(74)瞿麦忌 出発する。中西進/来日できない留学生。小熊英二/晴れた日のあんぱん。濱野ちひろ/三流で行こう。吉川浩満/色川大吉先生を偲んで。片野 勧

 

PEOPLE2022/世界のネコたち(北海道)/ティー・エイジ流カフェ散歩(茶屋街を見晴らす和カフェ)/トピックス(小さな鉢に広がる世界)/四季の風景(雪の結晶)

 

 潮ライブラリー/新聞クリッパー/今月のちょっといい話/クロスワード・パズル/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて

読みどころ

【新春特別対談】

「困難を越えてこそ芸術は花開く――絵画と物語の対話」

千住 (日本画家) × 中江有里(俳優・作家・歌手) 

 新春にふさわしく、今号では日本画家の千住博氏さんと俳優であり作家でもある中江有里さんの豪華対談が実現。アーティストとして活躍するお二人が、文化や芸術がもつ力や使命について語り合いました。

 コロナ禍の影響で、文化や芸術は危機に直面しています。しかし千住さんは、社会に不安が蔓延している時こそ、そこを補完するのが芸術の役割だと語ります。また中江さんも、合理的で無駄のないことが重視される現代で、あいまいで正解のない芸術こそ、人間にしかできない営みだと応えます。

 お二人の語らいは、絵画や小説のみならず、環境問題やAI(人工知能)、自然災害など多岐にわたります。なかでもペスト大流行後にルネサンスが花開いたという史実や、デジタルでは人間が本来もっている豊かさが抜け落ちてしまうことへの危惧など、激変する時代に生きる私たちへの、ヒントや警鐘が随所にちりばめられています。

 

【特別企画】持続可能な社会をめざして

「政府のコロナ対策を主導した公明党の次なる戦略」

秋野公造(公明党参議院議員/医師・医学博士)

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 「持続可能」とは、経済成長、環境問題、ジェンダーや格差といったテーマにおいて、古い価値観と決別し、後世のためによりよい未来を模索していくことだと考えます。今回は4人の識者に「持続可能な社会」への道程を論じていただきました。

 その中の一人、参議院議員の秋野公造氏(公明党)には、2年間にわたってどのように新型コロナ対策に取り組んできたかを聞きました。パンデミック発生直後には、医師でもある秋野氏を中心に専門家会議の設置を実現、また治療薬(レムデシビル)の特例承認や外国産ワクチン確保のための予算化、抗体カクテル療法の導入、さらには国産の飲み薬やワクチン開発への支援体制構築など、公明党主導で政治が大きく動いてきたことが時系列的に明らかになります。そしてここには、近い将来起こるであろう、新たなパンデミックに備えるための示唆や、国や政治の役割を見いだすことができます。

 こうした事実は、新聞やニュースではなかなか報じられません。ぜひご一読ください。

 

【特集】ニッポン最前線

「希望格差から『親ガチャ』へ――若者のリアル」

山田昌弘(中央大学文学部教授、社会学者)

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 昨年の新語・流行語大賞にも選出された「親ガチャ」、一度は耳にしたという方もいるでしょう。子どもは親を選ぶことはできませんが、そのことをカプセル玩具のガチャガチャにかけて、親にも当たり外れがあることを表しています。

 社会学者の山田昌弘氏は、2004年に刊行した『希望格差社会』の中で、勝ち組と負け組の格差が拡大することで、将来に希望を持てる人と絶望する人に二極化すると喝破しました。あれから20年が経過し、その予測は残念ながら現実のものとなり、親の財力やサポートが子どもの成功を大きく左右する傾向は一層強まっています。そして若者たちは、すべてを生まれという「運」のせいにして、不公平な現実を諦めざるを得ないところまで来ているのです。

 どうしたら、若者の教育格差や希望格差を解消できるのか。山田氏はオランダやベネズエラで実施された若者向け政策をヒントに、雇用の見直しや地方移住の推進などを論じています。なにより私たちが、社会全体の問題として取り組んでいく必要があるのです。

 

【連載】高島礼子の歴史と美を訪ねて(17)

「私の中にいるキャラクターが自然にしゃべりだすんです」

澤田瞳子(作家)×高島礼子(俳優)

 大好評連載「高島礼子の歴史と美を訪ねて」。今回は作家の澤田瞳子さんをゲストに迎え、直木賞受賞作『星落ちて、なお』の登場人物たちについて語り合いました。

 同作は、「画鬼」と呼ばれた天才絵師・河鍋暁斎の娘、とよの生涯を描いた長編小説。澤田さんは高名な父親ではなく娘を主人公にした理由について、「天才が何の努力もせずに最初から天才である姿よりは、普通の人間が懸命に努力して、天才に少しでも近づこうとあがく姿のほうが、読者も感情移入しやすいと思ったんです」と語り、とよの葛藤や気づきをメインに据えた「家族の物語」にしたかったと述懐します。

 対談では、高島さんの「役」との向き合い方と、澤田さんの「登場人物たち」との向き合い方の違いも印象的なシーンです。二人の表現者が役を生み出し、作品を作り出すその過程を垣間見ることのできる、とても心躍る内容となっています。

(今月号より、澤田瞳子さんの新作長編『梧桐に眠る』も連載開始。併せてお楽しみください!)

 

連載ドキュメンタリー企画(131

「民衆こそ王者 池田大作とその時代」希望をつなぐ人篇(10

戦後、創価学会の再建に立ち上がった戸田城聖は語った。

「学会に教学がなかったから、みな退転したのだ。これから、教学をやろう」

戸田のもとで池田大作は、御所(日蓮の遺文集)発刊という難事業に取り組んだ。

耳慣れない「インディアペーパー」「ヤンピー」という名の紙や羊皮。

材料の入手から挑戦の連続となった、前代未聞の出版事業のルーツに迫る。

 

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