特別企画 「令和」視点で日本を見直す
天然痘とマラリア 日本型パンデミックを探る。中西 進
コロナ対策も日中関係も構想力が求められている。寺島実郎
依存か、対立か―― 米中関係の本質を見誤るな。鈴木一人
平和安全法制の具体的成果と公明党のさらなる役割。北側一雄
【連載対談】ニッポンの問題点(44)
地球温暖化を嗤う者は経済で泣く。夫馬賢治×田原総一朗
【連載】高島礼子の歴史と美を訪ねて(11)
長崎から考える平和・信仰・差別。篠﨑桂子×高島礼子
【特集】深読みニュース講座
なぜ人は陰謀論にハマるのか――”二十世紀の神話”の終わり。佐々木俊尚
鎌田實の「希望・日本」(15)
「親の面倒は子がみるべき」からの解放。鎌田 實
【ルポ】「学校内性暴力」がもたらした深い傷痕。(下)渋井哲也
連載ドキュメンタリー企画
民衆こそ王者 ――池田大作とその時代
<希望をつなぐ人>篇(5)
【対談】毎日何かを残すっていうことが、すごく大切。
塙 宣之(漫才師、ナイツ)×トクサン(野球ユーチューバー)
【人間探訪】
田原俊彦
悪いけど、”田原俊彦”は楽しいです。
【特集】歴史を愉しむ
【新連載】深掘り!「三国志」(1)
史書『三国志』と小説『三国志演義』の違い。塚本靑史
【インタビュー】「仏の道」をたどる旅――シルクロードで考えたこと。安部龍太郎
意外とカンタン! 「半日断食」で体も心も健康に。青木 厚
プラスチックに頼らない生活よ、こんにちは。儀同千弥
【短期集中連載】コロナ時代に「協同労働」を考える(5)最終回
「生きがい」を生み出す新しい働き方。長岡義幸
【好評連載】
師弟誓願の大道――小説『新・人間革命』を読む(26)最終回
全人類に開かれた世界宗教へ。
佐藤 優
名越康文のシネマ幸福論(34)
「物語」が人を動かす。
名越康文
世界への扉(58)
リスクコミュニケーションに求められるもの。
三浦瑠麗
寄せ場のグルメ(25)
<対話編>寄せ場と「縁食」。(上)
藤原辰史×中原一歩
大相撲の不思議(68)
禁じ手。
内館牧子
【連載小説】
蒼天有眼――雲ぞ見ゆ(25)
山本一力
水の月(13)
中江有里
吉野朝残党伝(7)
天野純希
第22回 読者手記発表!
テーマ「好きこそ物の上手なれ」
読者手記 大募集!
(第25回 テーマ お弁当の思い出)
USHIO情報BOX
暮らしの相談室【保険編】(生命保険料の相場はいくら?)/ecology&economy 新しい生活様式のエコライフ(電気代の節約 ~エアコン~ 窓と屋根の遮熱方法)/熟年世代の危機管理術(健康と体力維持のための運動が災難を遠ざける)/SAFETY&SECURITY IT博士と学ぶデジタル社会の歩き方(Zoomのミーティング中の操作 ~スマホ版~)/楽して楽しむガーデニング(アジサイの手入れ)/ナンバープレイス/手近な素材で簡単おうちごはん(冷凍枝豆)/近ごろ…カラダが何かヘン!?(うっかり忘れる)/サトミツの知っててよかった!お掃除豆知識(ダイニングテーブルを拭く)/おうち時間に簡単体操(体幹トレーニングで若々しく②)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/最近気になるモノ(食品のオープナー)/
ずいひつ「波音」
こころを聴く(68)「五輪」を記録する東京オリンピック。中西進/コロナ禍の別れ。青来有一/ため池で人が溺れるって。斎藤秀俊/犬は何を考えているのか。内田麻理香/旅の記憶。速水健朗
PEOPLE2021/世界のネコたち(ミャンマー)/”ティー・エイジ流”カフェ散歩(喧噪の街に潜む洞窟喫茶店)/トピックス(光が織りなす空の色)/日本紀行(三内丸山遺産)
潮ライブラリー/新聞クリッパー/今月のちょっといい話/クロスワード・パズル/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて
【特集企画】 「令和」視点で日本を見直す
今号では「『令和』視点で日本を見直す」と題した特別企画を掲載。
古代以来の感染症と日本人の関係、コロナ対策、国際情勢、平和安全法制、地球温暖化対策や原爆をめぐる対談など、
現代における日本の立ち位置を考えるための良質な記事をまとめています。
◆天然痘とマラリア 日本型パンデミックを探る
中西 進(国文学者)
巻頭記事で中西氏は、『日本書紀』『万葉集』『源氏物語』『周礼』『説文解字』といった日本、中国の古典を縦横無尽にひも解き、日本で古来、感染症(天然痘とマラリア)がどのような被害をもたらし、それが社会にとってどのような転機になったのかを論じていきます。
天然痘は六世紀末、敏達(びだつ)天皇と用明(ようめい)天皇の命を奪います。この流行がきっかけとなり、日本は神道国家から仏教国家へと転換し、以降の治世では「仏教の慈悲の心の展開」がなされたと中西氏は指摘します。パンデミックを逆手に取り、平和思想が確立されていったのです。
さらに中西氏は、「疫病が都市を襲う『都病(みやこやまい)』だという点」に着目し、「都市がもつ歪(ゆが)みが、疫病によって表出する」と喝破します。現代にも通じる教訓にあふれた論考をぜひお読みください。
◆コロナ対策も日中関係も構想力が求められている
寺島実郎(一般財団法人日本総合研究所会長)
本年3月で東日本大震災から10年となりました。また昨年1月に日本で最初の新型コロナ患者が確認されてから、この5月末で500日となります。寺島氏は「3.11」からの10年間と、新型コロナの500日間を振り返りながら、「健全な危機感」を持つように警鐘を鳴らします。
まず寺島氏が指摘するのは、震災以降の復興の歪みです。復興予算の多くがハード面(土木・建築)に用いられたことから、被災3県の産業構造は、第二次・第三次産業が全国平均以上に増加した一方、第一次産業は33.9%も減少してしまいました。この歪(いびつ)な実態を受けて寺島氏は、東北6県で新しい産業構造を構築する必要性を訴えます。次に、新型コロナからの500日間において、国産ワクチンの開発が停滞していること、国産小型ジェット旅客機事業が凍結されたことを重く見ます。国民に衝撃と落胆を与えたこの二つの挫折には「部分的な細かい技術力が優れているのに、大きな構想力と総合エンジニアリング力が欠けている」という原因が共通しているそうです。さらに、GDP成長率の国際比較や技能オリンピックの金メダル獲得数の推移を例示しながら、日本の現在の実力を浮き彫りにしていきます。
こうして「健全な危機感」をもったうえで、日本がどこに進んで行くべきなのか。寺島氏の提案するダイナミックな構想にご注目ください。
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【人間探訪】田原俊彦
トシちゃんこと田原俊彦さんは今年60歳になりました。1980年「哀愁でいと」での歌手デビュー以来、41年……。2月には「“還暦前夜!”スペシャルワンマンライブ」のテレビ番組が放送。記事著者の荒川龍氏いわく「歌いながら右脚を顔近くまで真っ直ぐ上げるあの動き、その場でクルッと三回転する体の切れ、左脚を少し後ろに引きながら、右手人差し指をカメラに向けてぐいっと伸ばす決めポーズ……。歌謡界を席巻した頃と大差ない田原だった」そうです。
本記事は、そんな還暦!トシちゃんへのインタビューとなっています。現役でバリバリとライブをこなす胸の内を彼は「あれでもう精一杯なのよ」とざっくばらんに明かす。
「同世代の皆さんにもそれぞれ人生の紆余曲折があっただろうし、『トシちゃん、あの頃と変わらないじゃん!』と、僕の元気の良さと、ハッピーにバリバリやっている感じが伝わって、『自分たちも負けてらんねぇーな』と思ってもらえれば光栄です。それが僕の醍醐味でもあるしね」
記事では、トシちゃんのライブの様子を生き生きと描写しながら、その「常にエンターテイナーとして生きようという信念」を浮かび上がらせていきます。読んでいるこちらもハッピーになってしまうようなインタビューとなっております。