潮出版社
 
 
潮2019年10月号
月刊「潮」 潮2019年10月号
発刊日
2019年9月5日
価格
649 (本体 590円)

目次

【特別企画】

超高齢社会の現実。

二〇四〇年ーー「高齢社会日本」の未来図。 河合雅司

【連載】ニッポンの問題点

人口減少の処方箋は、島根県にあり! 藻谷浩介vs田原総一朗

【ルポ】認知症とともに働き、生きる。(上) 奥野修司

迷える同朋に贈るーーおじさんたちの生きがい探し。 清水孝幸


【巻頭企画】

北東アジアの

バルカン化が始まった。

船橋洋一


【特集】

今さら聞けないSDGs

子どもたちと一緒に考えたいSDGs。 蟹江憲史

マイクロプラスチックによる海洋汚染を防ぐために。 道田 豊

プラスチックごみが「地球一個分の暮らし」を脅かす。 三沢行弘

持続可能な社会をつくりたいーーセブン&アイHDの挑戦。 柳川 優

【人間探訪】

福寿満希ーー花と人と社会貢献と  

喜びあふれる社会を目指して。


連載ドキュメンタリー企画106

民衆こそ王者

池田大作とその時代

未来に生きる人篇(9)


【対談】ラグビーってホンマおもろいねん!

中川家vs大畑大介


【鼎談】前篇 「わりなきもの」を語る。

中西 進vs岸 惠子vs磯田道史


【新連載】寄せ場のグルメ3

東京最大の寄せ場「山谷」を歩く。(下) 中原一歩


【ルポ】外国人技能実習生を追い詰める過酷な現実。(上) 安田峰俊


【紀行】文人墨客を魅了した廬山を訪ねて。 塚本青史


【ルポ】京アニ放火事件ーー容疑者の足跡を追う。 粟野仁雄


【ルポ】子も親も育ち直しができる寄宿生活塾。(下) 荒川 龍


【シリーズ】鎌田實の輝く人生の「終い方」8

繰り返し思い出し、偲び、語る。 鎌田 實


その疲れの原因、「細胞のサビつき」かもしれません。 水野 敬


【オピニオン】若者の声を政治へ届けるために。 長岡光明


二十一世紀の中国の「内なる変化」を描きたい。 ジャ・ジャンクー


【好評連載】

シルクロード「仏の道」紀行

第二部 天山南路

第一回 辺境の地と呼ばれた西域へ

安部龍太郎


師弟誓願の大道   小説『新・人間革命』を読む11

対話主義こそ

世界宗教の条件。

佐藤 優


名越康文のシネマ幸福論13

「忘れる」力。 名越康文


世界への扉38

「表現の自由」と

「公共」をどう捉えるか。

三浦瑠麗


エッセイ34

小さな幸せ探検隊。  森沢明夫


大相撲の不思議46

立ち合い。 内館牧子

 

【連載小説】

芦東山10 熊谷達也

 

覇王の神殿13 伊東 潤


読者手記大募集!

(第3回 テーマ忘れられない贈り物)


ushio情報box

暮らしの相談室(貯蓄編) (パソコンで遺言書を作成してもよいのですか?)/初心者のためのスマホ活用術(スマホ内のデータをオンラインで管理)/地球にやさしいエコライフ(「次世代住宅ポイント制度」を利用するには)/悠々在宅介護術【入浴編③】(「体を洗うとき」に気をつけることは?)/最近気になるMONO(ヘアケアグッズ)/災害と防災(天気図や気象情報に見る「災害の予兆」)/主治医は自分! 未病発見・予防(転ぶ・つまずく)/ナンバープレイス/おいしく食べて健康づくり(サルコペニア(筋力低下)を予防する)/ビューティー・タイム(手を美しく見せるハンドケア)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/前新式 座ってできるリンパストレッチ(かかと上げ下ろしストレッチ)


ずいひつ「波音」

こころを聴く46 美しき主人公。 中西 進/故人の夢を乗せてRWC開幕。 松瀬 学/モータリゼーションの結末。 植松三十里/印刷の話。 金原瑞人/〝十年一昔〟というけれど……。 神 仁司


カラーグラビア

PEOPLE2019/世界のネコたち(石川県)/〝ティー・エイジ流〟カフェ散歩(お皿の〝裏〟まで魅せてくれるカフェ)/トピックス(エディブル・スクールヤード)/世界紀行(南米・パタゴニア)


潮ライブラリー/新聞クリッパー/今月のちょっといい話/クロスワード・パズル/囲碁・将棋/読者の声/編集を終えて

注目記事

【特別企画】超高齢社会の現実

「二〇四〇年――『高齢社会日本』の未来図」河合雅司(作家、ジャーナリスト)

「人口減少社会の処方箋は、島根県にあり!」田原総一郎(ジャーナリスト)藻谷浩介(株式会社日本総合研究所調査部主席研究員)

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10月号の特別企画のテーマは「超高齢社会の現実」。65歳以上の人口が全人口の21%を占め、世界最速ペースの超高齢社会に突き進む日本。少子化による人口減少、それに伴う人手不足、社会保障や社会福祉への不安など、直面する課題はあまりに多い。そこで特別企画では、これから直面していく課題に対して、現在の社会から見た解決策を探った。

2040年の日本を、現在の延長線上で考えてはいけないと語るのは、著書『未来の年表』シリーズがヒット中の河合雅司氏(ジャーナリスト)。2040年において、75歳以上で、女性、そして一人暮らしの高齢者が増大する。社会保障の財源も担い手も、現在と比べ圧倒的に不足していくのだ。

そこで、「既存自治体の枠組みにとらわれることなく、もっと狭いエリアに拠点となる〝ミニ国家″を作るモデルを志向すべきではないだろうか」と河合氏は提案する。いわゆるコンパクト・シティ構想ではなく、一定のエリアで住民たちが寄り添いながら、助け合って暮らす、「共助」の地域コミュニティの再構成を行うことが重要であるという。急激に変化する社会の中で、どのような日本の未来図を描けばよいのか、ぜひご一読いただきたい

高齢社会と人手不足の問題は、表裏一体の関係にある。田原総一朗氏の連載対談、「ニッポンの問題点」では、ベストセラー『里山資本主義』の著者で、地域エコノミストの藻谷浩介氏をゲストに迎え、人口減少社会における人手不足解決策の糸口を探っていく。成功している地方の共通点とは、東京ではなく世界に目を向けていることだと藻谷氏は語る。その中でも、氏は島根県に日本の未来の希望があると期待を寄せる。じつは日本で最初に「過疎」という言葉が生まれたのが島根県。早い段階において、人手不足の問題と直面したからこそ、島根県はいち早く対策を講じてきた。その結果、合計特殊出生率が全国2位、25歳から39歳の若い女性の就業率が82%で全国1位と、「女性が働きやすい社会」として、本格化する人口減少社会の模範的なモデルケースになっているという。地方から見た日本の問題点の処方箋を考える、ヒントになるであろう。 


【巻頭企画】

「北東アジアのバルカン化が始まった」船橋洋一(ジャーナリスト)

 

中国とロシアの爆撃機が日本の防空識別圏に侵入したというニュースは記憶に新しい。その後も香港民主化運動、そして戦後最悪といわれる日韓関係の悪化など、いま北東アジアは、トランプ大統領の動向や発言も含め、非常に目まぐるしい動きを見せている。10月号の巻頭企画では、元朝日新聞主筆でジャーナリストの船橋洋一氏に、変動する北東アジアの各国の思惑とこれからの展望についてお話を伺った。

エスカレートする香港の民主化運動は、中国にとっては台湾の「一国二制度」の先行事例として、決して後ろに引けない問題だ。だがもし中国が軍事的な介入を試みたら、アメリカも黙ってはいない。しかも、アメリカと中国は空前絶後の通商戦争の真っ最中。では日米関係はどうかというと、これまで最大の同盟国であった日本に対して、トランプ大統領は揺さぶりをかけてくる。しかも同時進行で日韓関係の溝が一段と深くなっている。混とんとする東アジア情勢を横目に、内心ほくそ笑んでいるのはロシアと北朝鮮かもしれない。
 アメリカの影響力の弱まりと、その真空状態を埋めようとする中国。恐ろしい地政学的挑戦が、いま北東アジアを舞台に繰り広げられており、それを船橋氏は「北東アジアのバルカン化が始まっている」と警鐘を鳴らす。
 では、日本と韓国両国のもつれた関係は、いったいどのような様相を呈するのか。船橋氏は、バルカン化する情勢の中で日韓が翻弄されれば、両国ともに敗者となるとの危惧を示す。だからこそ日韓は互いに相手を「謝絶」するのではなく、むしろ外交センスと冷静な安全保障、経済の費用対効果と大局的判断、そして何よりも政治家たちのリーダーシップが求められているのだ。時宜に適った、読み応えある必読の論稿である。

 


【特集】

今日から始めるSDGs(持続可能な開発目標)

「子どもたちと一緒に考えたいSDGs」蟹江憲史(慶応義塾大学大学院教授)

「マイクロプラスチックによる海洋汚染を防ぐために」道田豊(東京大学大気海洋研究所教授、国際連携研究センター長)

「プラスチックごみが『地球一個分の暮らし』を脅かす」三沢行弘(WWFジャパンプラスチック政策マネージャー)

他2本

 

最近よく耳にするけど、その内容はあまり知られていないSDGs(持続可能な開発目標)は、2015年の国連総会で採択された、2030年までの国際目標である。そう聞くと、自分とは関係のない、遠い世界のことのようにも思えるが、じつは家庭で出るペットボトルごみから食品ロス、さらには障がい者雇用やジェンダー平等など、その内容は多岐に渡っている。今月号では、SDGsとはそもそもどのようなものなのか、私たちが身の回りから始められる取り組みはあるのか、といった視点で、より身近にSDGsを感じることのできる特集となっている。

「SDGsは未来のカタチ」と語るのは、SDGs研究の第一人者である蟹江憲史氏(慶応大学教授)。SDGsを行動に移すにあたって大切なことは、まず気楽に取り組むこと、そして、できる範囲で少しずつ行動を広げていくことだという。また大人は難しく考えがちなので、柔軟な発想力をもつ子どもや若者たちと、一緒に考えていくことが効果的とも語った。

海洋物理学者の道田豊氏(東京大学教授)は、プラスチックごみによる海洋汚染について、その深刻な現状を教えてくれる。そして、「この問題が注目されつつあるいまは、私たちの生活の意識を変える絶好のチャンス」と述べる。なかでも5ミリ以下の微小な「マイクロプラスチック」の海洋汚染問題は、その実態や、生体への影響など、未だ全貌がつかめていない。だからこそ道田氏はできることをいまから始めるべきだと強調する。

「地球一個分の暮らし」を呼びかけるWWF(世界自然保護基金)ジャパンの三沢行弘氏は、日本のプラスチックごみ対策の遅れについて警鐘を鳴らす。世界ではすでに法規制によって、レジ袋の廃止などが定められている国が多い。増え続けるプラごみに日本がどのように対応していくべきなのか、経済成長を主眼に置いた消費活動を正常に戻し、人類共通の問題に取り組むべき時が来ている。

 


【鼎談・前編】

「『わりなきもの』を語る」

中西進(国文学者)×岸惠子(女優・作家)×磯田道史(歴史学者)

 

「わりなきもの」とは、ことわり(道理)がないもののこと。女優で作家の岸惠子さんの著書である『わりなき恋』をテーマの入り口に、万葉学者の中西進氏と歴史学者の磯田道史氏の三人に、「ことわり」では割り切れない日本人の揺れ動く感情の妙味や深さについて語り合っていただいた。

岸さんは1951年のデビュー以来、「君の名は」をはじめ、数々の作品に出演している。そんな岸さんは、最近出演したドラマの撮影方法の変わりようにとても驚いたという。それはある意味合理的かもしれないが、予定調和過ぎて演技の面白さが消されてしまうのだ。それに対して中西氏や磯田氏は、やはり合理化された昨今の大学の講義要目のあり方に、同じ問題点を見いだす。あまりに合理性や段取りが重視されるようになる中で、消えつつある「わりなきもの」から生まれる日本人特有の恋愛観や死生観へと話が移っていく。

日本という国の歴史、国文学、そして培われてきた情緒など、各界の「専門家」が集まって語り合った異色の豪華鼎談。ぜひお楽しみください。

 


【対談】

「ラグビーってホンマおもろいねん!」

中川家(漫才師)×大畑大介(ラグビー元日本代表)

 

 ラグビーワールドカップ開幕まで、わずか!

ところが、野球やサッカーに比べ、いまいちよくわからないラグビーの魅力やルール。そこで、この対談では、ラグビー元日本代表でラグビーw杯アンバサダーの大畑大介氏と、「ラグビー芸人」の顔も持つ人気漫才コンビ・中川家のお三方に縦横無尽に語り合っていただいた。

じつは3人とも大阪出身で、大畑氏は小学生から、中川家の2人は中学生からラグビーを始めたという。始めた理由も個性にあふれ、今では考えられない厳しい練習内容や、性格が出るというポジションの面白さなどを、涙と笑いをちりばめながら大阪弁で語りつくす。これを読むだけで、ラグビーw杯が待ち遠しくなること、きっと間違いなし!

 

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