「それがし常々、韓のために仇を報じたいと思うておりました。今日沛公(劉邦)にお会いし、沛公に従って秦を滅ぼしたいとの念を強く抱きました」
范増は項羽に、敵の夜討ちに備えるよう進言し、楚軍は四方の山間に兵を伏せると、秦軍に四方から襲いかかる。章邯は血路を開いて李遇の陣へ逃げ込んだ。
范増は、章邯が本陣の外に兵を伏せてあると読み、伏兵に伏兵する策で裏の裏をかく。
章邯はわずかの部下と共に落ちのびていった。
楚軍の勇猛さは天下に広まり、諸侯が続々と項羽の軍門にはせ参じた。その頃、咸陽では趙高が丞相の李斯を謀反の罪で捕らえ、一族を皆殺しにしていた。
夜襲/常勝将軍/権力の亡者/馬と鹿/内憂外患/章邯降伏/東西の道/麗食其/張良を借りる/殺戮軍団/洛州の潅嬰/趙高の反乱/秦王子嬰/趙高の最期/嶢関攻防戦
付録
項羽と劉邦関連地図
項羽と劉邦ビジュアル1 串木野市に出現した巨大な徐福像 文/後閑英雄 写真/浦充伸
漢覇二王の旅 川本喜八郎(人形美術家)
項羽と劉邦ビジュアル2 咸陽宮と阿房宮を訪ねて 文/後閑英雄 写真/浦充伸