范増、劉邦を見て過ちを知る。
「なんと、全身からただよう強い運気……。この人こそまことに天子になるべき運を持っている。仕えるお方はこの方であった」
項羽は塗山に干英と桓楚を口説きに行く。廟の前にある鼎を押し倒し、もとに戻せば勇者と認めるといわれた項羽は、鼎を二度倒し、もとに戻すと、頭の上に持ち上げてみせた。
帰途、項羽は野生の暴れ馬を乗りこなし、烏スイという名をつけて自分の愛馬にし、虞姫を妻とした。会稽に十万をこえる人々がかけつけ、項軍は北進を開始する。英布が加わり、范増が軍師となった。
これに対し、章邯率いる二十万の軍団が鎮圧のために動き出した。
項羽の怪力/虞姫/黥布/楚の後継者/天運を持った男達/秦軍反撃/魏攻略/豪勇項羽/負けるが勝ち/精鋭健在/おごれる者の末路/悲報/長滞陣/宋義を討つ/背水の陣
付録
項羽と劉邦関連地図
三つの「背水の陣」 後閑英雄(作家)