【第6部】
第6章 意志と意志/第7章 解放の日/第8章 ダイバダッタの陰謀/第9章 ナラダッタ/第10章 祇園精舎/第11章 陥穽
【第6部】
第6章 意志と意志
ラーフラはブッダのもとに駆け寄り名乗りをあげる。シャカ族の青年が蜂起を訴えたのに対し、ブッダはそれをいさめ、ルリ王子のほうが苦しんでいるという。
ルリ王子はブッダを呼びつけ「どうやったら苦しみからぬけだせるか教えろ」といった。ルリ王子とブッダは5時間も話し合ったが、ルリ王子は「おれの苦しみは、そんな説教じゃぬぐいとれない」という。
第7章 解放の日
ブッダはルリ王子と何日も何日も意見を戦わせた。12日めの夜、ルリ王子はついにシャカ族の解放を決めた。ルリ王子はブッダを自分の国へ招く。
第8章 ダイバダッタの陰謀
17歳になったアジャセ王子のもとへダイバダッタがやってきた。ダイバダッタはアジャセを王にする交換条件として竹林精舎の指導者になることを望み、アジャセ王の命令書を持って竹林精舎にやってきた。サーリプッタは教団全員を集合させて、何人がダイバダッタに従うかたしかめようといった。
ダイバダッタに従ったのは4分の1しかいなかった。ダイバダッタはコーサラ国への復讐をさせるといってタッタを誘う。ダイバダッタの一行は象頭山に向かった。
王となったアジャセは、父王を北の塔へ入れる。
タッタはカピラヴァストウまでブッダに会いにいくことにした。
サーリプッタは自然現象を利用して象頭山のサモンたちをつれもどした。
第9章 ナラダッタ
コーサラ国へむかっていたブッダは、ナラダッタの話を聞いて会いに行く。ナラダッタはブッダにクモの巣を指差し、ブッダはナラダッタの気持ちを理解した。
夜明け近く、ブッダがすこしまどろんだとき「アシタさま……私は……許されるのでしょうか」とナラダッタが声を出した。そのとき、洞窟の中いっぱいに、かぐわしいにおいと光がみち、ナラダッタの肉体は七色のもやにつつまれ光り輝いた。
ナラダッタが「まだ私の役目は残っております」というと、声はいった。「おまえはその人を見つけたのだ。おまえの前にいる人がその人だ」。
ブッダは生涯を自然にゆだねて終わることが、いかに感動的なものかを知った。その日から、ブッダは自分の生涯の終わりの日のことを深く考えるようになった。
第10章 祇園精舎
コーサラ国の長者スダッタが、ルリ王子の息子ジェータ王子に庭園をゆずってほしいといった。王子は「ほしいなら、園いっぱいに金貨をしきつめよ」という。
ルリ王子はパセーナディ王から、シャカ族をねだやしにしなければ王位をゆずらぬといわれ、カピラヴァストウへ出陣した。
スダッタは4年前ブッダに会い、ブッダのために地上最高の僧園を提供しようと決めた。スダッタはジェータ王子の園に金貨をしきつめるために、邸も奴隷も全部売ると、自分はスラム街に住んでこじきをして金をためる。王子は「おまえに負けた。荘園はタダでゆずってやるぞ」という。
第11章 陥穽
カピラヴァストウへ向かったルリ王子は、ブッダにとめられて兵を引きあげた。もどってきた王子をパセーナディ王は叱り、お気に入りのレスラーを養子にして王位をつがせようとした。これを知ったルリ王子は王を捕らえ、自分が王となった。ルリ王はブッダを迎え、「生涯帰依つかまつる」と宣言した。
スダッタとジェータ王子のコンビは大僧院をつくりあげた。
ボッカラサティにそそのかされた女弟子がブッダを招く。そのとき、ものかげにかくれていたボッカラサティが女を殺し、ブッダが殺したと叫んだ。
ブッダはルリ王の父が幽閉されているところへいき、文字を書き残していった。「左の壁の下を見よ あなたの味方がいる」と。そこには雑草がはえていた。
カピラヴァストウ城にやってきたタッタは、コーサラ国に殺された人たちの墓を見て怒りに燃えていた。騎士ベーランダがコーサラ国を憎んでいるグループのメンバーをタッタに引き合わせる。彼らが決起すると聞いて、タッタは張りきった。