恋に悩み、男たちに翻弄され、それでも志した文学の道。
大河ドラマ主人公を直木賞作家が等身大で描き出す、
名作「源氏物語」執筆の裏にある彼女自身の「物語」とは――。
不朽の傑作が待望の文庫化!!
庭先の楓が紅く色付いている。藤原香子(紫式部)は、この日も筆を執った。殿方の愛を受ければ女は美しくなるのか。だが、香子には物語や歌も大切だった。そんな彼女にも、いつしか心を許した男性が――。しかし、裏切りと心に負った傷が香子を苦しめる。朝廷内の権力闘争や、すり寄ってくる男たちに翻弄される日々。そして、藤原道長との出会いがもたらしたものとは。様々な苦難や葛󠄀藤を乗り越え、香子は唯一無二の〝物語〟を綴っていく。