ただ優しくて―― 笑いと涙が溢れてくる。
廃れゆく商店街をなんとかしようと独り身のおっさんたちが「町おこし推進委員会」を結成したが……。自らの過ちで娘を死なせた裕三は、二十数年の間、苦悩の底にいた。いまや絶滅危惧種ともいえる謎のおっさん源次は、生死の狭間でもがいていた。そして、平成生まれの高校生だけど昭和が大好きな翔太と幼馴染の桐子。翔太は、レコード店の七海に恋をするが……。
「昭和の色に彩られた人情小説の秀作である。
職人池永陽らしい確かな仕上がりで、充分に読者をもてなしてくれる。
何よりも人物たちがみな生き生きとしていて、いったいこの人たちはどんな人生を歩むのだろうと気になってしかたがない。
(中略)シリーズ二作で終わるのではなく(そんなことにはならないと思うが、)ずっとずっと書き続けてほしいものだ。」
(解説より 池上冬樹)