ご注文はこちら
幸福な人生の要「健康」への道標
ガンとエイズ、生命工学・先端医療の革新――
生物学者・生命倫理学者と仏法者の文明論的対話
「健康で生きがいに満ちた人生をどう勝ちとるか」「人間愛にあふれた健康的な社会をどう築くか」――万人が願ってやまない、この切実なテーマに対し、「最先端の科学・医学」と「仏法の英知」の両面から光を当て、そのヒントを贈る対談集。
池田大作「序」より
二十一世紀が“科学性”と“精神性”が共鳴し、融合しつつ、健全なる“人類文明”を現出させる「生命の世紀」となることを望んでの両博士との「対話」であった。
本書を手にされる方々にとって、両博士と私の思索の過程が、豊潤な“健康と人生”を開花させ、同時に精神性に輝く“人類文明”への参画者となるための“糧”となれば幸いである。
序 池田大作
序文 ルネ・シマー
第1章 ガンとエイズ
1.ガンの歴史と現在
ヒポクラテスの時代からガンはあった/ガンの発生と地域差・年齢差/小児ガンと成人ガンの違い/細胞の中に「ガン遺伝子」が
2.ガンの予防と治療
原因の大半は食生活の偏りと喫煙/ガンを防ぐための十二カ条/死の恐怖に打ち勝つ強い生命力を/化学療法や放射線療法/免疫力に影響をあたえる精神の状態/ガンと心の関係/人体は「悪」に対抗するものをつくる
3.ガン告知―医師と患者の絆
人間としての尊厳とガン告知/「希望」こそ病苦に挑戦する原動力/“人間的な絆”の回復が急務
4.エイズ―その脅威と対処
エイズの発生と起源/特徴としての“日和見”感染とその経路/「エイズ教育」が感染拡大の歯止め/治療法の問題点は何か
5.エイズと人権
意図的につくられたイメージによる偏見/人権社会の確立に必要な「人間教育」/一人の女性外科医の人道活動
6.クローン技術と生命観
「クローン人間」の技術的な可能性/人間は手段化を許されない存在
第2章 健康と調和
1.健康の本質について
健康は“均衡状態”の連鎖活動/環境に働きかける能動性
2.健康と病気
「健病不二」と「内なる治癒力」/良い行為には必ず良い報いが
3.環境との調和
病気の起こる6つの原因/「依正不二」と、環境との調和・共存/開発には「責任」の意識が不可欠/「持続的開発」のための“環境倫理”
4.生涯青春の生き方
「今を有意義に」という生き方/生老病死の「四苦」を「楽」に転換する法/本当の「若さ」は「開かれた心」にある/自己の限界を内面から打ち破る
5.ストレスを超える法
“母子一体”でガンと闘った女子学生/日常生活のストレス度と健康の関係/ストレスは“人生のスパイス”
6.“心の病”とどう向きあうか
家族や周囲の理解が重要/“人への接し方”を説いた“四摂法”/“心の病”に苦しむ人の人権をどう守るか
7.“理想の人生”について
民衆を救うために戦った改革者たち/もっとも生命を尊ぶ生き方
第3章 生命倫理の課題
1.宗教と医療倫理
西洋医学は「外敵の克服」をめざした/仏法は、生命と環境の調和をめざす/医学をリードする倫理の構築が急務/医師、看護人、患者の協力の大きさ
2.死の定義
「死」を忘れた文明は「死」に反撃される/人間の「死」を考える生命の三段階/生命を連続的プロセスとみる生命観
3.脳死をめぐって
「責任」と「連帯」こそ根本的倫理/「脳死」問題についての道徳的確信
4.尊厳死と死苦の超克
仏法は「積極的安楽死」を否定/「死のあり方」についてのガイドライン/釈尊が示した人間として「尊厳なる死」
5.死とどう向きあうか
寿命の長さではなく、どう生きたか/“臨死体験”をどう解釈するか/「死」に学び、豊かな「生」を生きる
6.生命の誕生
「生命の始まり」をめぐって/「出生前診断」の倫理的課題/「生命の質」に境界線はあるか/人工妊娠中絶は社会全体の問題
7.生殖技術と生命
生殖医療がかかえる課題/確かな人生観と家族観に立って
第4章 生命の進化と人類の誕生
1.生命の起源
「霊魂創造論」と「汎生気論」の出発点/「地球外生命起源説」への否定的見解/すべてのものの起源は共通している/“単純”から“複雑”へと進む分子活動/「混沌」と仏法の「縁起」の考え方
2.生物進化論をめぐって
ダーウィン進化論と「自然淘汰」の思想/“相互関連のダイナミズム”に着目して/進化は偶然の結果か、必然の結果か/「競争」と「協調」のダイナミズム/生物はいかにして「主体性」をもったか
3.人類の誕生
遺伝子解析に基づく人類の起源/人生に「意味をあたえる能力」/連続性と断絶性をどうとらえるか/自己意識の永遠なるものとの邂逅
4.さまざまな生命観
社会構造の変化で「生命観」も変化/デカルト生命観の背景/「機械論的生命観」の成果と倫理的問題/「生気論的生命観」の衰退の過程/生命観は多元的である/仏法の法理からみた「主体的生命観」
第5章 生命の世紀の黎明
1.現代物質文明の病態
求められる“人間”を基準とした普遍的価値/貧困は社会と人間の「健康」と密接に関係/援助のあり方の見直しを/戦争の経済から平和の経済へ/煩悩の薪を智慧の火へ/みずからの行いで運命を転換
2.人間教育のあり方
「幸福の実現」こそ創価教育の原点/釈尊は一対一の“対話”で教育/教師も学生も菩薩道に生きる/「いかに学ぶかという知恵を教えよ」/「柔軟な精神」「確かな判断力」「忍耐強さ」/不合格の学生から教えられたこと/すべての人にそなわる「仏知見」
3.大学教育の使命
大学のあるべき姿/「学問の自由」を守るための条件/人間に営みを問い直す「知」の創造/望まれる大学と社会との相互啓発
4.科学技術と倫理・哲学
“地球的問題群”を克服する責任/科学技術の選択に幅広い民主的な議論を/「妙なるもの」への畏敬の念の喪失/科学と哲学の再会への「問いかけ」を
5.「生命の世紀」に向けて―世界市民の要件
社会のために―そこに学ぶ喜びがある/違いの認識が「世界市民意識」へ/大乗の菩薩が立てる「四弘誓願」/開かれた「人間観」「世界観」を/仏教が「世界宗教」となった理由/誤った「寛容性」は権力への迎合を生む/「日蓮仏法」と「釈迦仏法」の違い/現実のなかでの「平和のための仏法」/日蓮仏法は生活という現実のなかに
あとがき ギー・ブルジョ