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子どもたちを平和の創出者に!
母として、主婦として、家庭と地域社会、子どもの教育など平和構築への現実的努力の重要性を訴えてきた平和学者と、民衆レベルで対話によって平和の道を築いてきたSGI会長が語り合う。
エリース・ボールディング(アメリカ 平和学者・社会学者)
1920年、ノルウェーのオスロ生まれ。3歳の時、アメリカのニュージャージー州に移住。41年、経済学者のケネス・ボールディング博士と結婚。5人の子どもたちを育てながら、平和研究、活動に取り組み、69年、ミシガン大学で社会学の博士号を取得。「家庭社会学」の研究は注目を集めた。国際平和研究学会事務局長、国連大学理事などを務め、ユネスコの提唱した「平和の文化」の推進に貢献。90年にはノーベル平和賞候補にもあげられた。ダートマス大学名誉教授。
第1章 家庭と地域から始まる世界平和
人間の精神の“内なる声”に耳を傾け合う対話こそ重要です/夫のケネスは、毎年発表される「平和提言」をとても評価していました/夫婦が互いに尊敬し、学び合う―美しい理想の姿です/祈りによって、人は自省の時をもち他者を深く思いやる自己と向き合います/家庭、そして地域社会こそがきわめて重要な平和の出発点なのです/働く父親たちは、人々の意見に耳を傾けることを学ぶ必要があります
第2章 「母」は優れた平和の教育者
母親の尊い貢献の姿は、子どもたちにとって最高の平和教育となり、人間教育となります/良き父親の関係は、女性が自身を持って世の中へ出ていく勇気を育むうえで、特に重要です/仏法とは「善き友」をつくり、自分もまた「善き友」となっていく道であると説いているのです/使命とは、誰から与えられるものでもない自らが決然と選びとるものです/たとえ意見の対立があっても、納得いくまで語り合い理解と共感を広げていく知恵と努力が必要です/一対一の対話を地道に粘り強く重ねていくことが平和と共生の地域社会への第一歩と思います
第3章 ノルウェーに学ぶ「開かれた心」
逆境こそ真価を発揮するチャンスです/「差異へのこだわり」は、人類が克服すべき根本の病となっています/平和な世界ができるとすればそれは私たち自身の手で実現しなければならない/子どもの笑顔が広がる社会には明るい未来があります
第4章 子育て、自然―平和を育んだ“教師”たち
写真は、妙なる生命の律動と、自然が刻一刻と織りなす光彩のドラマをとらえるものです/現代社会の荒廃の一つの要因は、「詩心」が失われてしまったことにあるのではないでしょうか/一人の母の工夫と努力から、世界的な平和研究のネットワークが広がった/「もし軍隊というものがなかったらどんな世界になるだろう」と真剣に想像してください/「未来を想像する人」が「未来を創造する人」である
第5章 ユネスコ憲章と「平和の文化」
利己主義を突き抜けた「献身の生き方」こそ最高の生命の健康法だと思います/ユネスコが目指すもの―それは国連に加盟する各国が大いなる文化の多様性を互いに学び合い、理解し合うことです/ユネスコ憲章には、「平和の文化」の精神が凝縮しています/国連が、十分にその力を発揮していくには、世界の民衆が草の根レベルで国連を支えていくことが不可欠です/文化と教育をはじめ、「人権」と「人道」の分野において貢献を競うべき時代であると思っています
第6章 南北問題と人類の未来
池田会長との対談は未来への明るい希望を抱かせるものです/人々が長い歴史の中で育んできた伝統や文化豊かな生活の知恵など、その素晴らしさを学ばずにきました/異なる人々に心から共感し、同苦できる精神性の開拓―ここにこそ教育、さらには宗教の使命があると思っています/人は、物質的な豊かさのみを求めて金持ちになっても、満足することはありません/深い人生の意味と力を人々の心に育んでいくそれこそが真実の宗教の使命であると思っています
第7章 「暴力の連鎖」を断ち切るために
平和のために、世界から悲惨の二文字をなくすためにもっともっと学び、語り、動きたいと思っております/戦争は戦争を生み出すだけです。「正義の戦争」などありえません。戦争は何事も解決しないのです/私たちは、他者の痛みへの「想像力」と「同居」の心を強めなければなりません/古来、人類の文化は女性が中心で、女性のもつ「生命を産み、育む力」への畏敬がありました/「平和の文化」について学ぶ必要があるのは、子どもたちよりむしろ私たち大人のほうかもしれません
第8章 教育は未来を照らす光
教育は、地球全体に、そしてあらゆる生命に深く関わるものでなければなりません/子どもの声に耳を傾け、心と心を通わせることはひときは大切なことだと思っています/教育の行き詰まりは社会そのものの閉塞を意味します/教室を飛び出して、地域の生活から何かを学ぶそれは、とても大切なことです/すべての人々の“声”に耳を傾け、私たち自身が完全な人間として成長していかねばなりません
第9章 女性の力が世界を変える
世界平和への潮流を断じてつくりあげねばならないそれが、この時代に生きる人間の責務です/女性の声は家庭や現実の生活に根ざしている。だからこそ強い/自分たちの地域社会で活躍する女性たちが現れてきていることは、とても重要なことです/風化されがちな戦争体験が読み継がれていくことは平和教育の面できわめて重要な意味をもつと思います/親子の触れ合いとともに、地域や社会で平和教育を幅広く進めていくことが必要です/大人と子どもが「平和」という同じテーマをめぐってともに考え、学び合うことが大切です
第10章 子どもたちは「人類の宝」
子どもたちに、「平和の心」を育む「精神の滋養」を与えてあげることが大切です/大人たちが普段子どもたちに、どのように接するかが非常に重要なポイントです/子どもたちは、励ましを受けさえすればきわめて豊かな創造性を発揮します
第11章 人生を豊かにする出会い
国民への愛情を持ち、人々に尽くす指導者が今ほど必要とされているときはないと思います/テクノロジーといった人間の外側からの革命だけでなく内側からの革命―すなわち「人間革命」が重要です/農業を大事にし、農家の方々を大事にできる国こそが真の“文化国家”の名にふさわしいと思います
第12章 詩は人間の生命の光彩
互いの違いをマイナスではなく、価値的なプラスの方向に向けるよう努力することが大切です/人生の「同志」「戦友」として苦楽を共にした夫婦の絆ほど、美しく強いものはない/今、自分はなにをするべきかを考え、さまざまな事柄が目標通りに進むよう努力してきたのです/心を大きく開いて自然と向き合い、人間と向き合い心に光を取り戻すことが必要だと思うのです
第13章 「対話」こそ二十一世紀の潮流
平和をいくら求めたとしても、具体的なイメージやビジョンがない限り、厳しい現実の壁を打ち破る力は生まれてこないでしょう/「無気力」や「無関心」の風潮を打破していくことが最も困難であるが、重要な課題であると考えてきました/人間は本来、もっとお互いを知り心を配りあ合い、助け合うことができるのです/池田会長は、「そこに人間がいるから」との信念のもと人間と人間の心の結び合う「対話」を続けてこられました
第14章 非暴力の魂、多様性の輝き
皆さんは信仰によって自らの人生を高めようとの決議に輝いています/ガンジーは人類の優れた模範です。人々は非暴力の哲理に生き抜いたガンジーを求め、彼の示すままに実践したのです/聡明な、気高き女性の輝きは人々に大きな勇気と希望と力を与えていくものです/人々が協力し合うことで、より接続可能で友愛に満ちた平和的な世界を築くことができるのです/エゴや民族主義を乗り越えゆく世界市民としての意識と自覚こそが、今こそ、必要とされているのではないでしょうか
第15章 「200年の現在」を生きよ
文明とは、他の文明と絶え間なく交流し刺激し合い、対話するなかで育まれ、発展していくものです/今、私たちに必要なのは「女性の物語」です/私たちの身近なところから“勇気ある一歩”を踏み出すことで新たな未来は始まるのです