はじめに 吉本隆明 最後の贈りもの――「詩歌の潮流」 新海均
Ⅰ 詩歌の潮流
神話についての二つの見解/日本語を簡略化する/「匂う」と「さす」の独特な言葉づかい/日本語はむずかしくない/詩歌の起源をたずねて/歌謡の祖型/親鸞および国学に見る「自立の思想」/俳句の成立と〈破れ〉/現代詩は西洋詩との等価性を獲得できるか/〈民族性〉と〈世界性〉をどう接続するか
Ⅱ 短歌のゆくえ
吉本隆明に聞く 短歌のゆくえ 聞き手/道浦母都子
『無援の抒情』から『花やすらい』へ/万葉に匹敵する茂吉の歌の秘密/西行の「命なりけり」と小林秀雄の批評眼/西行の 「地獄絵」をどう読むか/生地・天草と、谷川雁のこと/現代詩にはもう取り柄がないのか/グローバルという勘違い/「芸術的価値なんか考えない」/短歌にも迫りくる危機
花海棠と吉本隆明 道浦母都子
Ⅲ 詩と古典
Ⅳ 俳句のゆくえ
小学生のころ、「将来、技術工になる」と/私塾の今氏乙治先生/「荒地」の詩人たち/なぜ俳句がおこったのか/芭蕉はどう詠んだか/「俳句が一行の詩」なら、詩を書いたほうがいい/自立性を保てば他ジャンルとの交流ができる/素人と専門家の違い
おわりに 詩人思想家の〈詩魂〉 松崎之貞
プロフィール:
吉本隆明(よしもと・たかあき)
1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。著書に『共同幻想論』『言語にとって美とはなにか』『ハイ・イメージ論』『カール・マルクス』『悪人正機』『ひきこもれ』『日本語のゆくえ』『吉本隆明が語る親鸞』『開店休業』『フランシス子へ』など。現在、『吉本隆明全集〈全38巻別巻1〉』(晶文社)が刊行中。
道浦母都子(みちうら・もとこ)
1947年、和歌山県生まれ。大阪府在住。歌人。大阪府立北野高等学校時代に短歌を始め、早稲田大学在学中の71年短歌結社「未来」に入会。近藤芳美に師事。80年歌集『無援の抒情』を発表し、同作で第25回現代歌人協会賞を受賞する。2008年和歌山県文化賞受賞。静岡新聞、中国新聞、信濃毎日新聞、聖教新聞歌壇選者。著書に『百年の恋』『歌日記 花眼の記』『たましいを運ぶ舟』小説『光の河』など多数。
新海均(しんかい・ひとし)
1952年、長野県生まれ。75年、早稲田大学第一文学部卒。同年、光文社に入社。以降、雑誌、書籍の編集に携わり、2010年、退社。その後、フリーライターとして活動。著書に句集『悲しみの庭』(朝日新聞社)、『深沢七郎外伝』(潮出版社)、『カッパ・ブックスの時代』(河出書房新社)、『司馬遼太郎と詩歌句を歩く』(潮出版社)。
松崎之貞(まつざき・ゆきさだ)
1947年、埼玉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。70年、徳間書店に入社。一貫して編集部門を歩き、2002年よりフリーの立場で書籍編集に携わる。著書に『「語る人」吉本隆明の一念』(光文社)、2014年のノーベル賞作家に関する評論『モディアノ中毒』(国書刊行会)などがある。
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