直木賞作家による渾身の歴史小説!
明治維新によって日本が失ったものとは――
戊辰戦争を二本松藩士として戦った父・朝河正澄
太平洋戦争へと突き進む祖国に警鐘を鳴らし続けた子・朝河貫一
朝河父子の生き様から現代日本の病根を探る。
1932年米国――朝河貫一(イェール大学、歴史学者)は、
上海事変、満州事変と中国への侵略を進める日本の
軍国主義を憂えていた。かつて、日露戦争後の
日本の動向に危惧を抱き、『日本の禍機』を上梓して、
「このままではやがて米国と戦争になる」と警告したが、
その想いは届いていなかった。
自らの無力に苛まれる日々を過ごしていたある日、
父・朝河正澄から託された柳行李を見つける。
そこには、正澄が二本松藩士として戊辰戦争を
戦った記録が残されていた。
貫一は、父を主人公にした小説を書き、
その体験の意味を問い直すことで、破滅への道を
転げ落ちていく日本の病根を見出そうとする。
【著者プロフィール】
安部龍太郎(あべ・りゅうたろう)
一九五五年、福岡県生まれ。一九九〇年、『血の日本史』でデビュー。
『彷徨える帝』『関ヶ原連判状』『信長燃ゆ』『恋七夜』『下天を謀る』等、
歴史時代小説の大作を続々と発表。
二〇〇五年、『天馬、翔ける』で中山義秀文学賞を、
二〇一三年、『等伯』で直木賞を受賞。
「隆慶一郎が最後に会いたがった男」との伝説を持つ
歴史文学の第一人者である。
第一章 薩摩御用盗
第二章 浪士召捕り
第三章 Unfair way
第四章 脱藩
第五章 船出
第六章 二つの墓碑
第七章 降伏勧告
第八章 攻撃命令
第九章 交渉決裂
第十章 縁談
第十一章 運命の歯車
第十二章 反日世論
第十三章 白河口の戦い
第十四章 脱出
第十五章 雨の中
第十六章 時代の大渦
第十七章 敗走
第十八章 世界主義者
第十九章 蟷螂の斧
第二十章 夜明け前
第二十一章 永遠なるもの
主要参考文献一覧