新たなガンディー像!
半世紀にわたって思索しつづけてきた
宗教学の泰斗の到達点とは――
ガンディー評伝の決定版
プロローグ ガンディーが乗り越えようとしたもの
ガンディーという存在の「わかりにくさ」
断食闘争の根底にあったガンディーの「愛」
最後の挑戦――「母」になろうとしたガンディー
1章 ガンディーと家族
ガンディーの生き方に強い影響を与えた母
妻・カストルバーイとの不思議な絆
「肉欲の恥辱」と、書くことによる自己浄化
大義のため「家族を捨てた」ガンディー
2章 「断食という武器」を見出すまで
ガンディーの断食は「政治的曲芸」か?
最初は「健康法」だった断食
「公的な断食」の始まり
インド帰国後の最初の闘い
3章 非暴力闘争の深化
「ヒマラヤの山々ほどの大きな誤算」
「非暴力に徹すること」への困難な道のり
最初の「二一日間の断食」
大英帝国の土台を揺るがした「塩の行進」
4章 ガンディーと「ガンディー主義」の間
「ガンディー主義」はなぜわかりにくいのか?
「人格神」になろうとはしなかったガンディー
「ヒンドゥー的禁欲」とガンディー主義
ガンディーの生涯を「四住期」にあてはめる
政治と宗教を架橋した「両刀遣いの魔術師」
ガンディーと釈迦の共通項とは?
第5章 ガンディーと「母なるもの」
「お前の母親になってはいけないかね?」
非暴力の最終段階としての「母性の獲得」
一人の「母」として、娘・マヌを育てる
すべての贅沢を禁じ、献身の心を教える
「禁欲の実験」を、どう捉えるべきか?
ガンディーの最晩年を見届けたマヌ
エピローグ ガンディーをいかに受け継ぐべきか?
ガンディーの言動は「手本」にはならない
後継者はネルーか?
ガンディーとネルーの師弟関係に学ぶべきもの
非暴力と禁欲に、世界が近づきつつある?
アジアとアフリカを結んだガンディー
宗教性をベースにした社会改革の重要性
あとがき
ガンディー主要年表
ガンディープロフィール/主要参考文献
山折哲雄(やまおり・てつお)
1931年サンフランシスコ生まれ。岩手県出身。東北大学文学部印度哲学科卒業。同大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。駒沢大学、東北大学文学部助教授、国立歴史民俗博物館教授、国際日本文化研究センター教授、所長などを歴任。同センター名誉教授。思想家、宗教学者。2002年『愛欲の精神史』で和辻哲郎文化賞受賞。著書に『死の民俗学』『近代日本人の宗教意識』『近代日本人の美意識』『悲しみの精神史』『「歌」の精神史』『わが人生の三原則』『危機と日本人』。近著に『わたしが死について語るなら』