潮2020年3月号
【特別企画】トランプはどこへ行く?
アメリカ・イラン対立の深層を読み解く。池内恵
【対談】大統領選を左右する米中覇権争いの本質。宮家邦彦×田原総一朗
【巻頭対談】子どもたちの学力復活への処方箋
篠原文也×渡邉光一郎
【特集】「漂流ニッポン」への提言
「ゴーン逃亡」までの日産の二〇年。井上久男
”貯蓄ゼロでも不安ゼロ”の社会をどう築くか。井手英策
人生100年時代の家計術。横山光昭
【ルポ】佐賀・鳥栖いじめ訴訟――被害者が語る苦しみの日々。(上) 渋井哲也
【対談】いじめを許さない――大人にできること(下) 荻上チキ×春名風花
【ルポ】大学駅伝の新たなる潮流。サカイマサト
地球温暖化の謎に挑む。大河内直彦
連載ドキュメンタリー企画111
民衆こそ王者――池田大作とその時代 未来に生きる人篇14
【特集】人材の都・笑顔あふれる「愛媛」
中村時広/新山富左衛門/越智陽一/阿部義澄/竹内美喜/福島岩雄・春美/池田広美/坂本権三郎/夏井いつき
【インタビュー】チベットの人々の生き生きとした心や愛を伝えたい。ヨンジョンジャ
第5回 読者手記発表!テーマ「憧れの人」
●好評連載●
寄せ場のグルメ8 コリアンタウン「三河島」で焼肉を食べる。中原一歩
名越康文のシネマ幸福論18 「おいしい」が心を繋ぐ。名越康文
鎌田實の輝く人生の「終い方」13 「死」は日常のなかにあって良い。鎌田實
シルバー・アンダーグラウンド17 中国残留日本人を待ち受けた苦難の道。(下)石井光太
シルクロード「仏の道」紀行 第6回 キジル石窟。安部龍太郎
師弟誓願の大道――小説『新・人間革命』を読む14
「友人葬」と創価学会の死生観。佐藤優
世界への扉42 二十一世紀の女性が描くべき「夢」。三浦瑠麗
大相撲の不思議51 おざんどん相撲。内館牧子
★連載小説★
蒼天有眼――雲ぞ見ゆ13 山本一力
芦東山15 熊谷達也
覇王の神殿18 伊東潤
読者手記大募集!第8回テーマ「元気の源」
Ushio情報box
暮らしの相談室(年金編)年金の繰り下げ受給は得ですか?/サトミツの知っててよかった!お掃除豆知識(重曹を知っていますか?)/シニアのためのスマホ講座(便利なアプリ、LINEを使いこなしましょう)/悠々在宅介護術【車椅子編1】(体に合う「車椅子」を選びたい!)/家計にやさしいエコライフ(こたつと電気カーペットをどう使う?)/快適生活ワンポイントアドバイス(感想対策)/災害列島で生き抜く~本当に必要な防災用品とは?(スマホが命を救う)/美と健康のための新習慣(猫背さよなら 背筋伸ばし)/ナンバープレイス/おいしく食べて健康づくり(肩こり予防)/シネマ&DVD/ステージ&ミュージアム/短歌/俳句/時事川柳/最近の気になるMONO(お餅がカンタンに切れる)
ずいひつ「波音」
こころを聴く51 あめゆじゅと論理国語。中西進/「ラシュワン美談」の真実。佐山和夫/縁と邂逅。丸島和洋/偏愛だらけの冨山案内。藤田聡子/孤独死の生きづらさ。菅野久美子/
カラーグラビア
PEOPLE2020/世界のネコたち(アイルランド)/ティー・エイジ流カフェ散歩/旅人と島民を結ぶ「島のカフェ」/日本紀行・愛媛/シルクロード「仏の道」紀行(高昌故城)/
「アメリカ・イラン対立の深層を読み解く。」池内恵(東京大学先端科学技術研究センター教授)
【対談】「大統領選を左右する米中覇権争いの本質。」田原総一朗(ジャーナリスト)vs宮家邦彦(キャノングローバル戦略研究所研究主幹)
2020年はアメリカ大統領選挙の年。トランプ大統領が再選されるのか、それとも揺り戻しは起こるのか。その行方はまだ見通せないが、そんな折も折、昨年末から本年初頭にかけてアメリカとイランの対立が勃発した。さらに、中国との貿易摩擦も依然として続いている。そこで今月号では、米イラン関係と米中関係の2点を軸にして、専門家3人に話をうかがった。
イスラム研究の第一人者である池内恵東大教授には、イランとアメリカの対立の歴史からひもといていただいた。もともと親米国家だったイランが、なぜ反米へと舵を切ったのか。中東諸国を舞台に繰り広げられるアメリカ対イランの代理戦争の実態とは。ウクライナ民間機の撃墜はどうして起きたのか。国内でもほころびが出始めたイラン側の本音はどこにあるか……。報道ではなかなか見えてこない「対立」の裏側を、わかりやすく解説していただいている。
続いて、田原総一朗氏の好評対談「ニッポンの問題点」。27回目の今回は、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦氏をお相手に、米中対立の本質について語り合っていただいた。例えば貿易戦争に見える両国の対立だが、真相は二つの大国の覇権争いであると宮家氏は指摘。だからこそトランプ大統領の選挙戦後に、米中関係はこれまで以上に激変すると予測する。そのとき日本はどのような立ち位置を取るべきか。
池内氏と宮家氏に共通するのは、混乱する国際情勢の中で日本が生き残る役割は「媒介」ということだ。きわめて微妙なバランス感覚が必要とされる事態に、政府と外務省の存在感はますます重要になっているといえよう。
「〝貯蓄ゼロでも不安ゼロ〟の社会をどう築くか。」井手英策(慶応義塾大学教授)
【対談】「いじめを許さない――大人にできること。(下)」荻上チキ(評論家・編集者)vs春名風花(女優・声優)
他3本
特集『「漂流ニッポン」への提言』では、老後不安を解消する方策から「いじめ」をテーマにしたルポと対談など、多彩な話題をご用意。なかでも慶応大学の井手英策教授による「貯蓄ゼロでも不安ゼロの社会」は、非常に興味深い内容である。
消費税が10%に上がっても、軽減税率やキャッシュレス還元などさまざまな施策の効果もあって、世論調査によると痛税感はこれまでの増税時よりは軽減されているようだ。
しかし、そもそも日本の税金等の国民負担率は、OECD(経済協力開発機構)36カ国中25位と低いことはあまり知られていない。なぜ日本人は税金が嫌いで、貯蓄が好きなのだろうか。
井手氏は税金と貯金はコインの裏表であり、格差社会の日本では貯蓄よりも税の負担をもっと上げ社会保障を充実させたうえで、貯蓄ゼロでも不安ゼロの社会を作るべきだと提案する。斬新だが、読むと説得力のある論稿をぜひご一読ください。
もう一本ご紹介するのは、先月号に続き評論家の荻上チキ氏と女優の春名風花さんの対談「いじめを許さない──大人にできること(下)」。いじめを助長してしまうメディアの功罪や、極端な学校校則がいじめを生み出してしまうといった論点が取り上げられるが、特筆すべきは、いじめは「被害者」「加害者」だけでなく、「観衆」「傍観者」の四層構造から成り立っているという指摘。そしてこの「傍観者」を「仲裁者」へと変えていくためのシステムをいかに作り上げていくか。いまその課題が大人たちに問われている。
【ルポ】
「大学駅伝の新たなる潮流。」サカイマサト(スポーツライター)
本年1月2日、3日に開催された第96回箱根駅伝。三年ぶり三度目の出場を果たした創価大学は、最後の10区で大逆転劇を繰り広げ、見事9位でゴール! 初めてのシード権も獲得した。手に汗握ったあの日の興奮は、いまも冷めやらない。
本誌は、長年大学駅伝を取材してきたスポーツライターのサカイマサト氏(ご本人も東京農業大学時代、箱根駅伝出場経験あり)とともに、数年間にわたって創価大学駅伝部の取材を重ねてきた。そこで今月号では、ゴール直後の選手や監督、スタッフへのインタビューを敢行。彼らの奮闘や激走を、1区から10区までのレース解説とともにまとめたルポルタージュは、読めばあの感動がまざまざと蘇ること、間違いなし!